こんにちは。今日は小説の紹介をします。
第1弾は朝井リョウさんの本から。
勝手に作者紹介【朝井リョウ編】
朝井リョウさんの本は、現代にあるモヤモヤを突き詰めて突き詰めて、ぶった切っていくようなイメージがあります。流行っているから、みんなそうしているから、と流れに身を任せてしまうところを立ち止まり、
「本当はどう思いますか?」
と問いかけられているような気持ちになります。代表作の『何者』や2021年に出版された『スター』等も、その事象の本質を見抜く・考え抜くような作風になっていると思います。
一方で『星やどりの声』のような家族の話、『チア男子!!』のようなスポーツものまで多彩に表現している面白さもある方です。一度読んでいただきたい作品ばかりだなと感じます。
今回はそんな朝井リョウさんの小説から、『どうしても、生きてる』をご紹介します。
ではどうぞ。
『どうしても、生きてる』 / 朝井リョウ
【最短あらすじ】
自殺者の前日の投稿をエゴサするOL、漫画家の夢を諦め言い訳し後ろめたさを感じる男、派遣を切られた先輩の姿、いつでも大丈夫と言ってくれた上司など色んな状況からどうしようもなさを感じつつ、それを抱えながら自分の毎日を生きていく話が集まった6つの短編集。
【感想】
良かった。世の中全部、自分の気持ちも含めて、順序よく1から2へって移行していけるわけじゃないよなって言ってくれてるみたい。説明がつけられないくらいどうしようもない感情って沢山あるよね。
夢を諦めて何もかもに言い訳してしまう気持ち、
痛いのに痛いと言えずに大丈夫と言ってしまう気持ち、
前日は楽しかったのに次の日に死を選ぶ気持ち。
説明できない、できないけど誰の心にも絶対あるどうしようもなさ。それが色んな角度や切り口から浮き彫りになっていく。思い当たるからこそ、もったりした気持ちになるけど、のめり込んで読める。
「健やかな理論」の話が1番好き。何をするにしても明確な理由なんて無いのかもしれないなと思う。
広く一般に思い描かれるような健やかな理論だけで人間の行動が決まるわけじゃない。でもそれは良いことも同じで、死んでもいいかもと思った瞬間に来たセフレからのメールで死なない未来を選んだりする。どうしようもなさを抱えながら、それでも自分の人生を歩き続ける。どうしても、生きてる。
朝井リョウで一番好きだ!!