オリジナルストーリー『初めての決断』②

こんにちは!suiです。

いつの間にか久しぶりの投稿になってしまいました…。待っててくださった方ありがとうございます( ; ; )

オリジナルストーリーの続きになります。①を読んでいない方は前回の投稿をご確認ください。

それではどうぞ~!

目次

『初めての決断』/ sui

午後になって斗真が家に来た。いつもは夕食に合わせて会うけど、今日はあの話をするために時間を早めた。

「俺んちの近くに新しいケーキ屋ができてて、今度の記念日は絶対ここで買おうと思ってたんだよね。早く里奈に食べてほしい!」

楽しそうな斗真の顔。ほら、大丈夫、あんなの何かの間違いだって。

身を寄せ合って笑うなつみと斗真の顔がフラッシュバックしそうなのを必死でこらえる。

「うん。でもその前にちょっといい?聞きたいことがある。」

ケーキを冷蔵庫に入れて、ちょうどベッドにもたれるようにテーブルの前に座った斗真に言う。

こういうのは早く言う。嘘ついてるかどうか目をよく見る。

ネットで見た「嘘を見抜く方法」というのを本当かどうかも分からないが、頭の中で繰り返す。

「これ、大樹から送られてきたんだけど、どういうことか説明してくれないですか?」

なぜか敬語になった。言葉を発している自分が自分でない気がして、気持ちわるい。

斗真の目が見開く、しゃべり方を忘れたように言葉が聞こえない。

「……なんで。」

斗真の口からひと言、こぼれ落ちた。

「大樹の携帯が壊れて、電話するためにちょっと彼女の携帯借りたんだって。そしたら丁度その時ラインが来て、おかしいなと思って見たらしい。」

冷静に説明する私をよそに、そこからの斗真は慌てたように言葉を並べ、私への謝罪と無駄な言い訳を堂々巡りに聞かされた。正直、全然覚えてないけど。

その中で唯一鮮明に覚えているのは、困り果てた斗真の顔と、俺は里奈と別れたくないと何度も言われたことだけ。

斗真が浮気したことは気の迷いでやってしまったことらしい。気の迷いが半年も続くなんてすごいね。なつみは私よりかわいくて、私より痩せていて、私より幼くて、斗真が好きな2次元のキャラクターにどことなく似て見えるのは気のせいだろうか。

私は許せない、この浮気も、なつみも、斗真も。

とりあえずその日は、もう話す気力もなくなり、斗真は帰った。

また必ず話し合おう、という言葉を言い残して。私は、斗真が帰ってから思い切り泣いた。

斗真の前では一滴も出なかったのに。

悔しい。悲しい。斗真が何を思ってあの女と浮気してたのか、考えたくもない。

でも。

でも、私は斗真とは別れない。別れようとは1ミリも思ってない。

斗真は気の迷いがあっただけ。あれだけ2次元のキャラクターが好きだったら、現実で似てる人がいたら触れたくなるのも当然だよね。斗真は、なつみのことを女性として見ていない。キャラとして見てるんだ。そう、私もオタクだから分かる。オタクの彼氏のことは、オタクの彼女である私が理解していなきゃだよね。だから、斗真がこの世で、この3次元で、本当に好きで愛しているのは私だけって分かってるの。この3次元で私だけ、私だけだよね。

これが3年前の話。

あの後、大樹となつみは別れたらしいけど、やっぱり私たちは別れなかった。

そしてこの1回目の浮気の後、信じられないことに斗真は何度も浮気をした。そしてその女たちがみんななつみと同じで可愛くて細くて幼い顔をした女たちだった。

それでも、それだからこそ、私は別れなかった。だって、斗真のオタクを理解してるから。

キャラが好きなだけでしょ?知ってる知ってる。でも斗真は私が浮気を見つけるたびに、最初のなつみの時と同じように、困った顔をして何度も謝ってくる。そんな必死にならなくてもいいのに、私は全部分かってるって。むしろ何度も同じクオリティを打ち出せることにちょっと笑えてくる。

そして私もいつものように悲しい顔をして斗真の浮気を許す。だって斗真が好きだから。斗真を心から愛しているは私だけだし、私を心から愛しているのも斗真だけ。お互いに愛し合っているのは、私たち2人しかいないんだ。

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お読みいただきありがとうございました。

続きは近日中に公開予定です。感想やご意見も受け付けております!

それでは次回もお楽しみに~^^

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